全教から、「2018年度文部科学省概算要求についての談話が届きました。
「戦争する国」づくりを進め、35人以下学級など私たちの切実な要求には応えない概算要求となっています。

改めて、「文部科学関係概算要求のポイント」を見てみると、

◇補習等のための指導員等派遣事業(補助率1/3) 51億円( 5億円増)
・多彩な人材が学校の教育活動に参画する取組を支援。
①学力向上を目的とした学校教育活動支援
・退職教職員や教員志望の大学生などの人材を、児童生徒の学習サポートや進路指導・キャリア教育等のため配置:8,600人
②スクール・サポート・スタッフの配置
・卒業生の保護者など地域の人材を、学習プリント等の印刷などを教員に代わって行うサポートスタッフとして配置:3,600人

とあります。
正規教職員をこそ増やしてほしいのが現場の声です。正規でない人だと、新たな話し合いの場面が増えたり、子どもとの対応ですべてを任せることができないので、かえって多忙につながってしまう場合があります。

以下、全教の談話を紹介します。

【談話】アメリカとともに「戦争する国」づくりのための軍拡予算や財界の求める「グローバル人材育成」の予算から、憲法と子どもの権利条約にもとづき、子どもが安心して学べる教育予算への抜本的な転換を
~ 2018年度文部科学省概算要求について ~
2017年9月6日
全日本教職員組合(全教)
書記長 小畑 雅子
1、大型開発で大企業に奉仕し、アメリカとともに「戦争する国」づくりをひた走る軍拡予算
 財務省は8月31日、2017年度一般会計予算の概算要求を締め切りました。要求総額は4年連続で100兆円を超える規模となりました。昨年度の税収が7年ぶりに前年度を下回り、今後も伸び悩みが想定される中、防衛省の概算要求(5兆2551億円)はGDP比1%に迫る過去最高に達し、国交省が要求する公共事業費(6兆238億円)は旧来型の道路整備などが目につき9年ぶりの高水準となるなど、国民の願いと乖離した概算要求となっています。中でも防衛省は、新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」を事項要求し、大型の無人偵察機「グローバルホーク」や新型輸送機オスプレイ購入、「サイバー防衛隊」増強など日本の周辺情勢を口実にアメリカとともに「戦争する国」づくりをすすめる軍拡予算となっています。その一方、復興庁は昨年度予算額を1880億円下回る1兆6273億円を要求するにとどまり、被災地が求める復旧復興をすすめるものとなっていません。
 2018年度概算要求は、裁量的経費の10%削減と、義務的経費について「聖域を設けることなく施策・制度の見直し」による削減をおこなう一方で、安倍政権が「看板」に掲げる「人づくり革命」(新しい日本のための優先課題枠)予算を約4兆円見込んでいます。「幼児教育・保育の早期無償化」や「高等教育の無償化」などはこの中で事項要求されていますが、財源確保など大きな課題を残しています。

2、ゆきとどいた教育をもとめる父母・保護者、国民の声に背を向ける概算要求
 文部科学省の概算要求は一般会計で前年度比9.9%増の5兆8380億円となっています。父母・保護者、国民の願いである35人学級の推進には背を向けたまま、安倍「教育再生」を全面的に実行しようとする予算要求となっています。特に、改訂学習指導要領の押しつけや、学校の混乱を招く安倍「働き方改革」および「チーム学校」関連予算が至るところに計上されています。
(1) 国の責任としての35人学級前進を放棄する教職員定数改善
教職員定数については2026年度までの9年間で2万2755人改善するとし、2018年度は3415人を計上しています。「教員の働き方改革」を掲げ、小学校専科指導や中学校生徒指導に必要な教員を増やす一方、管理職の負担軽減のため共同学校事務体制強化や主幹教諭の配置を盛り込んでいます。これに、2017年度から始まった「通級による指導」や「日本語指導」、「初任者研修」の基礎定数化(385人)を含め合計3800人の改善を要求しています。自然減3000人を見込み、800人増となるものの、教職員の若返り等で前年比60億円減に止めたと説明しています。
障害児教育については、「通級による指導」の基礎定数化(505人)があるものの、障害児学校の過大・過密に対して「教室不足解消の補助」のみで、根本的な解決を図る予算要求とはなっていません。
35人学級についてはまったく言及がなく、国民的願いに背を向け、国としての責任を放棄するものであると言わざるを得ません。定数改善についても基礎定数化分をのぞくとすべて加配であり、いま大きな社会問題となっている臨時・非常勤教職員の多用による「教育に穴があく」状況を打開するものとなっていません。学校に必要な教職員は正規で配置することが基本です。都道府県が計画性を持って正規採用増がおこなえるよう、国が責任をもって教職員定数改善をすすめるべきです。

(2)財界の求める「グローバル人材育成」のため、小学校から大学までの公教育を総動員する教育予算
① 競争主義に拍車をかけ、正常な学校教育に支障を来している全国一斉学力テストについては、59億4200万円(6億9100万円増)要求しています。2018年度は国語、算数・数学、理科の悉皆調査をおこない、2019年度には中学校で英語を実施するとしています。全国一斉学力テストによる学校現場での混乱が予想され、生徒への多大な影響が懸念されます。
② 改訂学習指導要領で学校現場を縛りあげる徹底的なとりくみや、改訂をふまえた教育課程を押しつける予算33億2400万円が要求されています。「アクティブ・ラーニングの視点から学習・指導方法改善」「カリキュラム・マネジメント推進」「高校生の基礎学力定着に向けた学習改善のPDCAサイクル構築」など、幼稚園から高校まで一体で安倍「教育再生」の貫徹をねらうものが並んでいます。また、特別支援学校改訂学習指導要領の方向性を踏まえた学習・指導方法の改善・充実を図るとした予算1億2800万円が要求されています。これに加えて、小・中・高校を通じた英語教育強化事業9億6500万円を含め「初等中等教育段階におけるグローバルな視点に立って活躍する人材の育成」に225億6600万円要求しています。また、「道徳教育の抜本的改善・充実」として37億5400万円(17億9700万円増)を要求し、教科書の無償給与をはじめ、改訂学習指導要領をふまえた効果的な指導・評価・推進を図るなど、問題のある内容となっています。
③ グローバル人材の育成を目的とする「高大接続改革の推進」として、「大学入学共通テスト」の記述問題作問・採点検証等のためのプレテスト、「高校生のための学びの基礎診断」施行調査等に70億円が要求されています。「大学入学共通テスト」については英語で民間検定を活用し、「高校生のための学びの基礎診断」については「測定ツール」を民間事業者につくらせるなど、教育産業に丸投げし、国の責任を投げ捨てるものとなっています。拙速な「高大接続改革」ではなく、すべての生徒の学び・成長する権利を保障する高校教育・高大接続とするため、国民的な議論と合意形成を図ることが必要です。

(3)必要とするすべての高校生・青年に給付制奨学金を
① 「高校無償化」関連の予算要求は、高等学校等就学支援金等に3676億3400万円、高校生等奨学給付金については給付額(一子単価)および給付要件見直しによる増額で154億8700万円となっています。貧困と格差が広がる中、低所得世帯への支援が拡充される点は一定評価するものです。一方、「高校無償化」3年目の見直しにあたり「高校生等への修学支援に関する協力者会議」がおこなわれ、年度末にまとめを出すといわれている状況下にあって、所得制限に関する記述さえないのは大きな問題です。権利として、すべての高校生等が「高校無償化」となるよう強く求めるものです。
② 大学等奨学金事業については、2018年度から本格実施となる給付型奨学金について給付人員2万2800人分、無利子奨学金希望者全員への貸与4万4000人増など、1075億円の予算要求となっています。給付型が始まり本格実施の予算要求がされたことは前進ですが、人数・支給額ともに決して十分なものではありません。必要とするすべての高校生・青年に給付制奨学金が実現されるよういっそうの拡充がもとめられます。
⑩ 私立高等学校等経常費助成費等補助については、幼児児童生徒の単価増額や特色あるとりくみ支援などで1057億円が予算要求されています。また、私立学校施設・設備の整備の推進は、耐震化等の促進や教育・研究装置等の整備に406億円を要求しています。保護者・生徒・教職員の願いである公私間の学費等経済的格差の是正、安定的な経営を支える公的助成など、公教育として国が私学を支える予算を拡充することが重要です。

(4) 安倍「教育再生」をすすめる「働き方改革」「チーム学校」ではなく、教職員がいきいきと働ける学校と教育を
① 「チーム学校」・「働き方改革」の柱である専門スタッフや外部人材の導入については、いじめ・不登校などの対策でスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの増員に66億4800万円、学力向上を目的とした支援および新たに業務支援内容を学習プリント印刷・配布準備、授業準備・採点業務補助に広げた「スタッフ」導入に50億5800万円、公立中学校に7100人の部活動指導員を配置に新規で15億400万円など、多くの予算が要求されています。
また、「学校現場における業務の適正化」として、教員の業務の明確化や時間管理の徹底、「業務改善アドバイザー」派遣、および、都道府県単位での「統合型公務支援システム」導入など要求しています。さらに、給食費の徴収・管理を学校から自治体に移行する予算も要求されています。
こうした一連のとりくみは「教職員の業務負担軽減」を名目に、学校そのもののあり方を大きく変質させる危険性があります。安倍「教育再生」に特化した「業務改善」はますます教職員と子どもたちを苦しめるものとなります。
② 「教員の資質能力の向上」として、教員の養成・採用・研修及び教員免許管理などが計上され、とりわけ、「都道府県間での教員の免許状情報の共有・管理などのためのシステムの機能を強化する」として新規に予算要求されるなど、教員の管理統制を強めるものとなっています。
③ 地教行法が一部改正され、すべての公立学校に学校運営協議会設置の努力義務が課されたとして、「学校運営協議会の設置・拡充に向けた調査研究事業」について新規で予算要求し、その拡大を狙っています。

3、憲法と子どもの権利条約にもとづき、学ぶ喜びと希望を育む教育予算への転換を
2012年9月、日本政府は長年留保していた国際人権規約A規約13条2項(b)(c)を批准しました。この結果、政府は2018年5月末までに、国連が求めている「給付奨学金導入」や「高校の入学金と教科書の無償措置」、「学校納付金等の無償措置」などの「無償教育の具体的行動計画」を報告することが義務付けられています。無償教育を漸進的にすすめるとした国際公約を守るため、教育予算を大幅に増やし、国民生活最優先の予算へと抜本的に組みかえるべきです。
全教は、「アメリカとともに戦争する国づくり」のための軍拡予算や財界の求める「グローバル人材育成」のための予算を大幅に削減し、国の責任による35人以下学級の前進、給付制奨学金創設、公私ともに学費の無償化などをすすめるなど、子どもが安心して学べる教育予算への抜本的な転換を求め、父母・地域住民とともに、教育全国署名運動や「地方議会での意見書採択のとりくみ」を中心に、年末の政府予算編成に向けて奮闘する決意です。
以  上

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